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整備・メンテナンス

ヘッドライトのバルブの種類

H4とHS1は形がそっくりですが、別物です。規格の見分け方、ハロゲンとLEDの選び方、交換の手順、そして二輪だけ違う車検の基準まで。

ヘッドライトのバルブは、切れたら交換するだけの部品です。ところが「自分のバイクが何の規格なのか」でつまずく方がとても多い。H4だと思って買ったらHS1だった、という取り違えは珍しくありません。

このページでは、まず自分のバイクの規格を確かめる方法から始めます。そのうえで、ハロゲンとLEDの違い、交換の手順、車検の基準を順に見ていきます。

まず、自分のバイクの規格を知る

調べ方は3つあります。上から順に確実です。

  • 外したバルブの根元を見る。いちばん確実です。金属の口金や樹脂の台座に型番とワット数が刻印されています。「H4 12V60/55W」のように読めます。
  • 取扱説明書を見る。電球の一覧が載っています。中古で説明書が無い場合は、メーカーのサイトで車種名から探せることがあります。
  • 車種名と年式で調べる。「車種名 ヘッドライト バルブ 規格」で検索すると出てきますが、同じ車種でも年式で変わることがあります。年式まで合っているか必ず確かめてください。
バルブを抜いて、根元を見る 型番とワット数は、たいていここに刻印されています フィラメント H4 12V 60/55W これが規格(型番) ワット数(Hi/Lo) ここが違うものは付けない ※ ガラス球は素手で触らないこと
バルブの根元(口金)に、型番とワット数が刻印されている。ここを読むのがいちばん確実。

主な規格

バイクで見かけるのは、だいたいこのあたりです。

型番ワット数の例特徴・使われ方
H412V 60/55Wもっとも普及している規格。1本でHi/Loを切り替えます。中型〜大型に多く使われています
HS112V 35/35WH4によく似た形ですが別規格。小排気量車に使われます。ここが取り違えの最大の原因です
PH7 / PH812V 35/35W ほか原付クラスに多い規格。PH7とPH8も口金が違うので、どちらかを確かめる必要があります
BA20D12V 35/35W ほか原付や輸入車で見かける規格。H4BSと呼ばれることもあります
H7 / H11 など車種によるHi用とLo用が別々になっているタイプ。Hi/Loで2個使う車種で使われます

同じ型番でもワット数の違う製品があります。型番とワット数の両方を合わせてください。

H4とHS1を取り違えないでください。形は非常に似ていますが、消費電力が35/35Wと60/55Wでまるで違います。HS1の車両にH4を付けると、発電量を超えて電気を使うことになり、バッテリー上がりや配線の発熱につながります。レンズやケースが熱に耐えられないこともあります。「付いたから大丈夫」ではありません。
写真だけでは見分けにくい規格です。H4とHS1は、画像で並べても違いが分かりにくく、通販サイトの写真だけで判断すると取り違えます。現物の刻印を読むのが確実です。

ハロゲンとLED、どちらを選ぶか

ハロゲン

純正で付いているのはたいていこれです。安く、確実。純正と同じ規格・同じワット数を買えば、まず失敗しません。光は白熱電球らしい少し黄色みのある色です。寿命は使い方しだいですが、LEDよりは短くなります。

LED

明るく、消費電力が小さく、長持ちします。ただし選び方が難しい。同じ「H4」でも製品によって光の広がり方(配光)がまったく違い、明るいのに前が見えない、対向車に迷惑をかける、ということが起きます。

LEDを選ぶときは、明るさ(ルーメン)だけを見ないでください。ヘッドライトで大事なのは、光の量よりも光がどこを照らすかです。ハロゲンのフィラメントがあった位置に、LEDの発光面が同じように来ていないと、レンズやリフレクターが設計どおりに光を配れません。

配光が出ている 光がカットラインより下に収まっている 路面 カットライン 路面の先まで届く 配光が崩れている 同じ線を越えて、上へ光が抜けている 路面 この分が対向車の目に入る そのぶん路面が暗い (左と同じ高さの線)
ヘッドライトは「明るさ」より「どこを照らすか」。同じ高さの線を越えて光が抜けると、対向車をまぶしくさせ、そのぶん路面に届く光が減る。

自分で交換する手順

車種によってヘッドライトの外し方は大きく変わりますが、バルブそのものの交換は共通しています。

用意するもの

  • 新しいバルブ型番とワット数を合わせたもの。左右2灯の車種は同時交換がおすすめです。
  • ドライバー・レンチヘッドライトケースを開けるため。車種によりサイズが変わります。
  • 手袋(または清潔な布)ガラス球を素手で触らないため。
  • パーツクリーナーもし触ってしまったとき、指の脂を拭き取ります。
  • ドライバー用の受け皿小さなネジを落として無くさないため。地味に効きます。
  1. エンジンを切り、ライトが冷えるのを待つ

    点灯直後のバルブは高温です。やけどをします。数分は待ってください。あわせてキーを抜き、可能ならバッテリーのマイナス端子を外しておくと安心です。

  2. ヘッドライトケースを開ける

    車種によって、レンズごと外すもの、後ろから手を入れるもの、カウルを外すものがあります。外したネジは種類ごとに分けて置いてください。長さが違うネジを混ぜると、締めたときに中の部品を突き破ることがあります。

  3. 配線のカプラーを抜く

    バルブの端子に刺さっているカプラーを、まっすぐ引いて抜きます。硬いときは左右に軽く振りながら。配線を引っぱらないでください。根元で切れます。

  4. 防水用のゴムカバーを外す

    カプラーの奥に、ゴムのカバーが被さっています。ふちをめくって外します。どちら向きに付いていたか覚えておいてください。「TOP」などの表示があるものもあります。

  5. バネ金具を外す

    バルブは細い針金のようなバネで押さえられています。バネの端を軽く押し込んでから、横へずらして外します。いきなり引っぱると外れません。ここが最初の関門です。

  6. 古いバルブを抜く

    まっすぐ手前に引けば抜けます。抜いたら根元の刻印を確認してください。買ってきた新品と型番・ワット数が一致しているか、ここで最終確認します。

  7. 新しいバルブを、ガラスに触れずに入れる

    ガラス球は絶対に素手で触らないでください。指の脂が付いたまま点灯すると、その部分だけ温度が変わってガラスが割れることがあります。口金(金属や樹脂の部分)だけを持ちます。

    向きが決まっています。爪や切り欠きの位置を合わせて、奥まで入れてください。無理に押し込まないこと。正しい向きなら軽く収まります。

  8. バネ・ゴムカバー・カプラーを元どおりに戻す

    外した逆の順です。ゴムカバーの向きと、ふちがきちんと収まっているかを確認してください。ここが浮いていると水が入り、内側が曇ったりバルブがすぐ切れたりします。

  9. 点灯を確認する

    ケースを閉じる前に、Lo・Hiの両方が点くか確認します。ハイビームのインジケーターが点くかも見てください。ここで気づけば、やり直しが楽です。

  10. ケースを閉じ、光軸を確認する

    ネジを元どおりに締め、暗くなってから壁に向けて照らし、光の向きが前と変わっていないかを見てください。ずれていれば調整ネジで直します。バルブを替えると光軸が動くことがあります。

片方が切れたら、両方換える。2灯式の車種の話です。同じ時間だけ使っていれば、残りももうすぐ切れます。左右で色が違うのも見た目がよくありません。

車検と保安基準

二輪は、四輪とルールが違います。四輪は1998年9月以降に作られた車がロービームでの検査に一本化されましたが、二輪車はその対象から除かれています。二輪の前照灯は走行用前照灯(ハイビーム)で測定されます。四輪向けの記事をそのまま当てはめると間違えます。
項目基準
光度15,000カンデラ以上(ハイビームで測定)
色(2006年1月1日以降の製造車)白色のみ
色(2005年12月31日以前の製造車)白色または淡黄色。どちらかに統一されていること
灯火の数ハイビーム2個以下、ロービーム2個以下(合計4個以下)
取り付けの高さハイビーム 0.5〜1.3m / ロービーム 0.5〜1.2m
光軸のずれ左右 270mm以内 / 上 100mm以内 / 下は取り付け高さの5分の1以内

記載は2026年9月時点のものです。基準は変わることがあります。

青白いLEDは落ちることがあります。色温度でいうと8000Kを超えるような青みがかった光は、「白色」と認められない可能性があります。見た目の好みで選ぶと、車検のときに困ります。白なら6000K前後、淡黄色なら3000K前後が一般的な目安です。
250cc以下は車検がありませんが、基準が無いわけではありません。保安基準そのものは同じように適用されます。基準に合わない状態で走れば整備不良です。車検が無いぶん、自分で気をつける必要があります。

LEDにして失敗する、よくあるパターン

  • 明るいのに前が見えない。配光が崩れています。光が散ってしまい、路面に届いていません。ルーメンの数字ではなく、カットラインがきちんと出る製品かを見て選んでください。
  • ケースに入らない。LEDは熱を逃がすためのヒートシンクや冷却ファンが後ろに付きます。ハロゲンには無かった出っ張りなので、防水ゴムカバーが閉まらない、ケースの蓋が閉まらない、ということが起きます。買う前に奥行きを確認してください。
  • 光軸が変わってしまった。発光位置がハロゲンと少しでも違うと、照らす向きが変わります。交換したら必ず光軸を見てください。
  • ハイビームのインジケーターが点かない、または点きっぱなし。製品と車両の相性で起きます。
  • 青すぎて車検に落ちた。上の警告のとおりです。
  • すぐ暗くなった・切れた。放熱が足りていない可能性があります。密閉されたケースの中は、思っているより高温になります。
純正がハロゲンなら、ハロゲンのままでも十分です。LEDにしなければいけない理由はありません。夜道が暗いと感じる原因が、バルブではなくレンズの曇りや汚れ、配線の劣化、バッテリーの弱りにあることもよくあります。まずそちらを疑ってみてください。

当店での対応

バルブの交換も、LEDへの交換も承っています。ただし車種によります。ヘッドライトケースの構造や、LEDが収まるかどうかは車両ごとに違うためです。

あわせて読みたい

まず、外したバルブの根元を見てください

規格さえ合っていれば、バルブ交換はむずかしい作業ではありません。困るのはたいてい「何を買えばいいか分からない」ところです。まずは外したバルブの根元にある型番とワット数を確かめてください。そこが分かれば、あとは同じものを選ぶだけです。

※ 記載の目安は一般的なものです。車種ごとの指定(バルブの型番・ワット数)は取扱説明書をご確認ください。
※ 保安基準の内容は2026年9月時点のものです。基準は変わることがあります。
※ 作業はご自身の判断と責任で行ってください。不安がある場合は整備工場へご相談ください。

📞 06-6713-5544